2023.3.22
デザイン思考を鍛える 新卒向けUI/UXワークショップ -UI/UX焚火会- UX編
はじめに
EMCカンパニービジネスユニット4-8所属の青郷、小嶋、西浦です。
私たちが所属する部署では、チームをより良く運営していく組織開発の取り組みがあります。
今回は、その中でも新卒育成の施策である『UI/UX焚火会』について、どのような過程を経て実行したのかをまとめたいと思います。
UI/UX焚火会とは
私たちの部署では、クライアントに対してUI/UX設計支援をメインに提供しています。メンバーとしては、デザイナーやディレクター、エンジニアといった様々な職種が一丸となって取り組んでいます。
その上で、メンバー全員が「ユーザー体験を軸としながらUI/UXデザインを設計する」というアプローチを理解しデザイン思考を活用していくことがより良い支援をするために重要だと考えています。
今回は新卒を対象に、デザイン思考を養成するプログラムをUI編とUX編の2部構成でつくることとなりました。本記事は、その第2部UX編の紹介となります。
また、「焚き火を囲むようにみんなでわいわいと楽しく取り組む」というコンセプトを定め、焚火を囲みながら語らうという意味を込めた『UI/UX焚火会』という名前をつけました。
ワークショップを作るために意識したこと
広範囲に及ぶUXデザインという分野を新卒全員が深く理解することは、簡単にできるものではありません。そこで、今後の学習や業務に活かす土台を作ることにフォーカスし、下記のゴールを設定しました。
- UXの基本概念や実践方法のアウトラインを理解する。
- ユーザーの頭の中を想像し、ユーザー目線を養う。
簡易的なUXデザインプロセスの中で「課題発見」「アイデア発散・コンセプト設計」「ユーザーストーリー」の3つに重点を置く方針を立て、全3回のワークショップを設計しました。
簡易的なUXデザインプロセスの中で「課題発見」「アイデア発散・コンセプト設計」「ユーザーストーリー」の3つに重点を置く方針を立て、全3回のワークショップを設計しました。
ワークショップ全体について
このワークショップでは、実際にペルソナを用意し、そのペルソナの条件や依頼に対してUXデザインのプロセスを踏みながらアイデアを提案するというワークを実施しました。
こちらであらかじめ参加者の特性などを見ながらグループを設定し、その参加者と協力しながらワークを行う形式をとってみました。
今回は参加者に年齢や状況が近いペルソナを用意しつつ、「一人暮らしをする若手会社員が、プライベートも会社員生活も両立させ、生活が豊かになるようなサービスやプロダクトを提案」というお題を設定しました。
課題発見ワークショップ
課題発見フェーズでは、共感マップを使ってペルソナや依頼内容を深堀りして課題を発見してもらいました。共感マップとは、ペルソナが普段どのような環境に身を置いていて、その中でどんな感情を抱いているのかを理解するために使われる手法の一つです。
ここでは、ペインポイント(マイナスの状態をゼロへ戻すためのアプローチポイント)とゲインポイント(ゼロをプラスにするアプローチポイント)への理解をゴールとして置きました。「ペルソナが普段見ているものは何か」や「ペルソナが周りから聞いていることや言われていること」などの6つの質問に答える形でペルソナへの解像度を上げることが目的です。
アイデア発散・コンセプト設計ワークショップ
アイデア発散・コンセプト設計フェーズでは、チームごとに好きな発想法のフレームワークを試しながらペルソナのペインポイントやゲインポイントを解決するアイデアをできるだけたくさん発想してもらいました。ブレスト、KJ法、マンダラート、マインドマップ、オズボーンのチェックリストといった例をあげながら、まずはそれぞれの発想法について検索してもらうことで様々な方法を学んでもらいました。ワークに与えられた時間や状況に応じて、どの発想法を使うのがより良いのかという議論が生まれていました。
その後、チーム内でブラッシュアップしたアイデアをコンセプトシートにまとめ、一つの案にします。
ユーザーストーリーワークショップ
コンセプトをまとめたのち、続いてはユーザーストーリーを作成するフェーズになります。ここでは、検討したアイデアがペルソナの課題をどのように解決するのかについて、イラストやセリフを用いたストーリーボードでまとめてもらいます。ストーリーボードを作ることでユーザー体験の解像度をあげ、誰にでもイメージがつくような形にします。
ストーリーボードは4コマで構成されており、どんな場面でそのアイデアがペルソナにとって価値を提供できるか、について分かりやすく可視化されました。
各チーム、イラストを書いたりフリー画像を使ったりしてボードを完成させていきます。
実は後ほどのアンケートで、このワークが一番面白かったという意見が多く、今まで考えてきたものを実際の形にする、グループでイメージをすり合わせながら可視化するという点に楽しさを感じる参加者が多かったように見えます。
まとめ
以上の3つのワークを実施し、無事UX編はクロージングしました。
会終了後、参加者の方にアンケートに答えていただきました。「ペルソナから考えることをほぼ行ってこなかったが、とても新鮮で且つ難しい内容を体験できた」「ワークのプロセスがとても考えやすかった」といったワークの内容に対する意見が集まった他、「チーム内で役割分担をしながらグループワークができて楽しかった」というワーク全体のポジティブな感想もいただくことができました。
ワークを通して、各グループが自分たちでより良いやり方を探索しながらワークを進めることができたと考えています。またグループワークで楽しみながらやる、という当初の目的も無事達成できたようです。
今回はワークとしては実施できませんでしたが、ビジネスモデル設計やプロトタイピングに関しても事例を紹介しました。さらにアイデアを形にして整えていくフェーズについても、今後共有していきたいです。
UI/UXに関する知識や手法についてチームの業務で触れているとはいえ、なかなか若手は現場で養うことが難しい状態でした。しかし今回の『UI/UX焚火会』が参加者のみなさんに対して「もっと自分で調べてみよう」という意識を持つきっかけとなってくれたらと思っています。
この記事を書いた人
青郷 優貴
2020年入社。EMCカンパニー所属のデザイナー。最近、Pikmin Bloomをはじめました。
小嶋 野乃香
2021年入社。EMCカンパニー所属のディレクター。休日は近所の健康ランドで過ごすことが多いです。
西浦 由人
2021年入社。EMCカンパニー所属のデザイナー。気づいた頃にはもうアップル信者になってました。