2022.12.22
「データはあるけど使えていない」データ活用の課題を解決するワークショップ ~第3回DXスタートデイ開催レポート
対象読者
- 企業内でデータ活用の進め方で悩んでいる方
- 企業のマーケティング部門、経営企画部門、営業部門で戦略を策定する責任者
- データ活用ってどうやって始めればいいの?と疑問に思っているデジタルクリエイター
「第3回DXスタートデイ」が開催されました
2022年12月2日、メンバーズ内製化サービス開発室主催のイベント、第3回DXスタートデイが開催されました。
テーマは「データ活用の課題解決」
講師として、パイオニア株式会社 SaaS Technology Center 部長 保田様と中元様にお越しいただきました。
DXスタートデイとは
DXスタートデイは私が企画をしているのですが、ただ講演を聞くだけではなく、参加者は講義内容を参考に自社と自分の課題を解決するための方針を他の参加者とディスカッションしながら策定するという、かなりハードな内容になっています。
第1回は「デジタルにチャレンジする」をテーマに株式会社カインズ 白鳥様に、第2回は「DXを実現する組織・制度」をテーマに株式会社ベネッセホールディングス 水上様にご講演いただきました。
パイオニア SaaS Technology Centerの取り組み
ご講演いただいたのは、パイオニアの保田部長と中元様。
保田 昌彦(やすだ まさひこ)
パイオニア株式会社 グループCDO兼 SaaS Technology Center データインテリジェンス部 部長
SIerにてデータベースエンジニアを経験後、データ分析の世界に入る。以降、ソフトバンク、楽天グループ、ユニクロ、LINEでのデータ分析活動、CDO/データ責任者として組織立ち上げ、データマネジメント〜データビジネス活用に従事。2021年、パイオニアに参画。現在、グループCDOとして全社横断データ組織を管轄、コア事業へのデータカルチャー作りとデータ活用をリード、ビジネスに強くなるデータ人材育成に注力。
中元 祥吾(なかもと しょうご)
パイオニア株式会社 SaaS Technology Center データインテリジェンス部データソリューションチーム
2013年パイオニア入社。モビリティデータ活用に関わるR&D部門、機械学習モデルを利用したアフターマーケット向け製品のサービス開発、大規模データ分析基盤構築を経験したのち、データ組織の立ち上げとしてデータインテリジェンス部に異動。メンバーとして全社横断でBI導入やデータ教育の推進、基盤構築などデータ活用の環境づくりに携わっている。
皆さんご存知の通り、パイオニアといえばオーディオやカーエレクトロニクス。カーナビ「carrozzeria」が有名です。
現在、新生パイオニアは「未来の移動体験を創ります」をビジョンに、モビリティ関連ソリューションサービス企業へ進化しています。
この新しい方向性を支えるのが、2021年に創設されたSaaS Technology Center。
サービス開発をDevOps型で内製化し、データ活用を強化するためのチームです。
カーナビからの速度・位置情報や、ドライブレコーダーからの映像情報などのデータを利用し、スマホアプリやWebでのモビリティサービスを自社開発することが目的だそうです。
SaaS Technology Centerのnoteを読むと、かなりモダンなアジャイル開発の体制ができているようで、エンジニアにとっても楽しめる環境のようですね。
パイオニア株式会社 SaaS Technology Center Webサイト
パイオニア株式会社 note
DXスタートデイ当日の様子
講演
まず最初はパイオニアの保田様、中元様の講演。
講演タイトルは
「データはあるけど使えていない」その課題解決に挑む変革途中のパイオニアデータアクティビティ事例
データ基盤の整備から分析、活用までにありがちな「落とし穴」にどう立ち向かい乗り越えていくか、基本的な考え方について保田様がお話し、パイオニアでは具体的にどのような取り組みを行ったのかを中元様がお話する構成でした。
保田様のお話では、データ活用ステージを「立ち上がり」「見る・分析する」「活用する」の3つに分けて、それぞれのステージで陥りがちな「落とし穴」への対策をお話いただきました。
印象に残ったことは、「ビジネス目線」。
データ活用というと、DWH、SQL、BIツール、Pythonと言ったテクノロジーの話や、分析ロジックの話になりがちですが、ビジネス側とデータ分析側で同じ目線で、「ファクトだけでなくアクションも」アウトプットするような、ビジネスで活用できるデータ分析が重要だと保田様はお話しされていました。
後半の中元様の講演では、データ活用のためにパイオニア社内では何が行われたのかを時系列で説明をいただきました。
さらに、パイオニアのクラウド型運行管理サービス「Vehicle Assist(ビークルアシスト)」で、社用車などの事故防止、安全運転の推進を目的とした機能提供にどのようにデータが生かされているのか、事例も見せていただきました。
現状は、このような成功事例をさらに改善し続け、他の事業にも横展開しているとのことです。
当日の講演は、こちらから視聴可能です。https://marke.members.co.jp/membersseminer67_PdMdata.html。
※講演動画の視聴には情報登録が必要になります。
ワークショップ
今回のDXスタートデイには機器メーカー、小売、運輸、デジタルサービスなど、全く違う業種の方々が参加し、4人ごとのチームに分かれ、それぞれが自社のデジタル活用方針、自分の担当業務、そして現在抱える課題、悩みについて相互理解を深めました。
「ただセミナーを聞いて帰る」のではなく、「講演を聞いて、自分のやることをアウトプットする」までがこのDXスタートデイの目的です。
当日の「データ活用の課題解決方法」講演内容から得たヒントを元に、参加者は自分の課題解決方法を定義し、チーム内でディスカッションを実施。
このディスカッションにはパイオニアの保田様と中元様にも入っていただき、まるで「ミニコンサルティング会」のような感じで参加者の悩みにご回答いただけました。
当日初めてあったばかり、それも業種が違う参加者の皆様が、とても熱心に課題解決について話し合い、とても盛り上がったディスカッションとなりました。
データの活用だけではなく、組織のあるべき姿や、関連部署との連携の仕方、そもそものデジタルマーケティングの本質的な考え方など、様々なテーマに拡大して、さまざまな議論が交わされました。
事後のアンケートでも、当日の感想として「いろいろな企業の人と話し合えて良かった」「他の会社の人の話がすごく参考になった」「みんな悩みながらも頑張っているとわかって、もっと頑張ろうと思った」「もっともっと話がしたかった」というご意見をいただきました。
(この日の満足度をアンケートで答えていただいた結果、100点満点で約90点でした)
保田様の言葉
ワークショップ、発表の後、パイオニア 保田様から総評としてコメントをいただきました。
「データを活用するためには落とし穴も多く、乗り越えるには努力が必要です。
でも、データ活用によってビジネス成果の向上は確実に成し遂げることができる。
みんなで頑張ってデータ活用力を高め、もっと日本を元気にしていきましょう!」
イベント終了
イベント終了後には、メンバーズの「UXデザイン育成カリキュラム」「データ領域特化型プロフェッショナル常駐サービス」「DX推進・伴走支援サービス」「Salesforce・SaaSの内製化・伴走支援サービス」などの説明を行い、この日のDXスタートデイは終了となりました。
開催後、有志はメンバーズラウンジにて懇親会に参加。
パイオニア保田様、中元様もご参加いただき、ここでもデータ活用についての熱い議論が繰り広げられていました。
次回DXスタートデイ
2023年2月予定で次回DXスタートデイを企画中です。
基本的にメンバーズのお客様限定イベントですが、参加希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。
メンバーズ内製化サービス開発室について
企業がデジタル活用を推進するためには、外注依存ではなく企業内のデジタル人材の能力強化をしていく必要があります。
このような企業の取り組みを、デジタル活用戦略立案から制度構築、育成、施策の実施までを伴走型で支援するのが、メンバーズ内製化サービス開発室です。
今回のイベント「DXスタートデイ」の企画・運営をしています。
この記事を書いた人
宮坂 興基
経営・マーケティング戦略プランナーですが、調査・分析も制作もプログラミングも教育も何でもします。 趣味は釣りで、湖のほとりに住んでいます。