「もし、温泉がなくなったら?」別府市の未来と新たな魅力を発見する価値共創プロジェクト

「もし、温泉がなくなったら?」別府市の未来と新たな魅力を発見する価値共創プロジェクト

こんにちは!メンバーズCCDLab.北九州担当の蛭沼です。

メンバーズグループのエンゲージメントファーストとCCDLab.が、2020年1月25日(土)と26日(日)の2日間にわたり、大分県別府市にて「温泉に頼らない、持続可能な別府市とは?」をテーマに、立命館大学アジア太平洋大学、大分大学の学生、教授の皆様にご参加いただき、大学生の視点で地域の隠れた魅力や可能性を発見し「別府市に新たな価値を創造するアイデアの創出」を目的としたワークショップを実施しました。

25日のワークショップより生まれたアイデアは翌26日(日)に別府市 経済産業部 産業政策課に向けた発表会でプレゼンし、地元大学生、大学(教育機関)、行政が共に別府市の未来を考える産学官連携型の地域活性化プロジェクトとして、社会課題解決を共に考えるとてもよい企画となりました。

ワークショップ・発表会自体は2日間でしたが、学生の皆さんは、この2カ月前から77ページにわたる「別府市都市計画マスタープラン」を分析して課題を抽出し、仮説立てを行って、別府市内でフィールドワークを行い、課題解決アイデアを纏めたものを持って参加いただきました。

では、当日はどのようなアイデアや取り組みだったのか、現場レポートを当日開催運営に加わったCCDLab.の私と、未来共創サポーターの北九州拠点の中山がレポートします。

持続可能性とは? – SDGs2030ゲームで体感する –

アイスブレイクを兼ねたチェックインで打ち解けた初対面の参加学生の皆さんは「2030SDGs」というカードゲームに臨みます。

SDGsとはSustainable Development Goals=「持続可能な開発目標」の略語で、国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中にある行動指針であり、持続可能な社会に向けて、行政機関だけでなく企業や、私たち一人ひとりも実現を目指す目標でもあります。

このゲームは持続可能な社会を作るためにはどうすればよいのかを体感できるゲームです。

SDGs2030ゲームでSDGsを体感

プレイヤーになった参加学生の皆さんは、自分たちがどのような社会を目指すか(ゴール)を決め、その実現のためにプレーをしていきます。生活をより便利や快適にするための開発や生産活動(環境にマイナス)、より多くの余暇を得るために仕事を減らす(利潤にマイナス)といったことをゲームの中で進めていきます。

そして各グループが望むままに自分たちのゴールだけを考えてゲームを進めると、やがて各グループのゴールが両立せず、立ち行かなくなるということを実感します。それを悟ったプレイヤーは他のグループとカードを取引して協力することで自分たちの目標の実現に近づこうと行動し始めます。独断的な活動だけでは立ち行かなくなり、協力することで持続可能な社会に近づくことが実感できる非常によくできたカードゲームです。このゲームを使ったワークで感じていただきたいことは、どうすれば持続可能な状態になるのか、ということです。別府市の持続可能性を考えるときにも、経済、社会、環境等の要素が両立するかを考える必要があります。

なお、このゲームで黄色の「社会」のマグネットの数が「28」まで膨れ上がることは稀で、本ワークショップの参加者の皆さんはさすがです。

どうすれば持続可能な状態になるのか、ゲームで学ぶ

STEEPV – 別府市の現状、ポテンシャルを分析する –

2030SGDsの後のワークショップではSTEEPVと呼ばれるフレームワークを使い、別府市の課題や特徴を、Social(社会的面)、Technological(技術面)、Economical(経済面)、Enviromental(環境面)、Political(政策面)、Value(価値)の6つの面に分類して整理し、マッピングします。中心に近いほど、今の別府市に直接的に関連している項目となります。

別府に縁や所縁のある学生の皆さんだからこそ書ける別府市の課題であり、また自らの足を使ったフィールドワークで見て、感じた別府市の生の課題だけにやはり臨場感が違います。別府の良いところや魅力も、抱えている課題も、全てマッピングしていきます。

別府市の課題や特徴を付箋でマッピング

マッピングが終わったら、別府市の現状、課題をどういった価値に結び付けられるかを各グループで考えていきます。例えば実際に学生の方が挙げていた「不便」という別府市の特徴は、逆に合宿などで使われる際には「雑念から隔離され集中できる環境」という風に言い換えることができます。

つまり課題だと思われていたことの中に、気付かない価値が含まれている場合があるのです。別府市の隠れたポテンシャルを見出して、それを価値に転換し、書き出した他の要素と組み合わせることでイノベーションの卵を作り出せる可能性があります。

そしてSTEEPVの中でその組み合わされた要素の領域が遠ければ遠いほど、よりダイナミックなイノベーションの卵となります。

別府市の現状や課題に価値を結び付ける

どの課題に取り組むか、どのように取り組むかを話し合い、発表の準備をするところまでが1日目となります。現在の課題を踏まえてどのような価値を生み出すか、明確な答えが用意されていない設問であるがゆえに悩みに悩むグループもありましたが、何とか考えを纏めて1日目が終了。朝10時から夕方5時半まで、参加者の皆さん大変おつかれさまでした。

発表の準備

地元学生の皆さんが考える持続可能な別府市

2日目はいよいよ発表ですが、集合いただいた学生の皆さんに、なんとここでいきなり開催運営から「プレゼン発表時に、寸劇を織り交ぜるように」との衝撃の告知が…。さらに追い打ちをかけるように衝撃的だったのが、それに「指定の小道具を少なくとも2つ使わなければならない」という決まりも告知され、困惑する学生の皆さん。

では、なぜこのようなものを織り交ぜるのでしょうか。例えば、別府市で不便に感じる瞬間を小さな劇として実演します。劇中でその当事者になりきることで、演者も鑑賞者もその不便な瞬間をリアルに感じることができるのです。

そして使用が義務付けられた小道具はこちら!照れながらも作戦会議です。

作戦会議

いよいよ別府市 経済産業部 産業政策課の方々を前に発表に臨みます。発表内容は、別府市の交通機関の不便を解消するレンタルサイクルや、人口減少する別府をスポーツで振興するといったアイデア、空き家をDIYリフォームでシェアハウスにするといった学生目線でのアイデアが盛りだくさんでした。別府市ならではの課題に、これまで気付かなかった別府市のポテンシャルをもって取り組むという素晴らしい発表でした。

発表

別府市行政側の視点からみた別府市の課題と未来

各発表の後には、別府市経済産業部 産業政策課の皆さんよりフィードバックや「普段どれくらいの頻度で商店街に立ち寄りますか?」、「フィールドワーク中にどのようにして空き家と人が住んでいる家を見分けましたか?」といったアイデアの着想に迫る、逆質問をいただきました。産業政策課の方々にとっても、地元学生が別府市について日頃どのように考えていて、どのような観点でフィールドワークを行ったかを直接知っていただける機会となりました。

産業政策課の方からは「若い学生の方々が2日間にもわたって、別府市の将来について考える時間を持ってくれたことが嬉しい」といったお話もいただきました。

フィードバック

別府市未来共創ワークショップのまとめ

最後に2日間のまとめとして、持続可能な別府に向けてこのワークショップで考え出したアイデアを実現に向けて取り組んでいくことを確認しました。最終成果物として、こんな素敵なものができました。この付箋は、参加学生の皆さんの他のグループの発表に対するフィードバックです。皆さん真剣に他のグループの発表を聞き、「〇〇の発想は思ってもみなかった。素晴らしい考えだった」、「〇〇を工夫すればもっといいものになると思います」といったフィードバックをたくさん書いてくれました。

学生の皆さんには、ぜひ今回の経験を糧に今後もご自身の住む街を持続可能なものにしていく活動を続けていっていただきたいです。

最終成果物

別府市未来共創 ワークショップ後記

この2日間私がこのワークショップに携わって感じたことは、やはりその土地の課題は、その土地に根付いている当事者や、関わりの深い人こそが真剣に考えて取り組めるということです。なぜなら、その土地固有の課題を解決するものは、その土地ならではの固有の魅力と可能性であり、それはその土地の空気を吸い、地元の食べ物を食べ、地元の人との交友関係の中にいないと感じられないからです。一極集中が更に進む東京の目線では、そういった地方固有のものは感じられないのではないでしょうか。

地域の過疎化、高齢化、人口減少は多くの日本全国の地域が抱えている問題ですが、どの地域の課題も解決できる万能薬はなく、その地域にはその地域の人だからこそ生み出せる、その地域ならでは課題解決法があります。それを積極的に体現された参加学生の皆さんは本当に素晴らしかったです。学業でお忙しいところ、ありがとうございました。よく知っている街の違った側面や、知らなかった魅力などを再発見できたのではないでしょうか。2日間にわたり、大変お疲れさまでした。

またこのワークショップの呼びかけとご賛同をいただいた立命館アジア太平洋大学と大分大学の先生方、また発表にご参席いただいた別府市経済産業部 産業政策課の方々には大変感謝をしております。今回の企画は、参加学生の方々に加え、先生方と産業政策課の皆さまのご協力ゆえに実現できたものです。ご多忙のところ、ご参加いただきありがとうございました。

エンゲージメントファーストとCCDLab.は、メンバーズグループの中にとどまらず、今後も持続可能な社会の実現のために、産学官共創の取り組みを続けて参ります。

別府市 経済産業部 産業政策課 コメント

「温泉に頼らない、持続可能な別府市」というある種究極のテーマに、大学生ならではの大胆な発想に驚いたり、発表に至るまでの苦労を垣間見たりと各グループの発表に自然と聞き入ってしまいました。今回、別府の地でこの企画を実施していただいた株式会社メンバーズ様と株式会社エンゲージメント・ファースト様、そして参加していただいた教授・学生の皆さんに厚くお礼を申し上げるとともに、今後もこの企画を別府で継続していただけることを願っています。そして多くのアイデアが形になっていくことを期待しております。

参加大学生コメント①

今回のワークショップでは、普段の大学生活ではあまり機会のない他大学の方と交流ができとても貴重な経験になりました。大学の講義ではあまりグループワークをしないのですが、複数人で話し合いをすることでより多様な意見が出てくるなどグループワークの面白みを感じました。今回学んだことを今後活かしたいと思います。

参加大学生コメント②

私が最も印象的だったのは、高見沢さんの仰っていた、「人口減少は課題ではなくただの事象である。人口減少による労働力の低下が本当の課題である」という言葉です。なぜなら、この言葉によって、課題の本質を考えられるようになったからです。課題を人口減少ではなく労働力不足に切り替える事で、人口減少を解決しなくても、労働力不足を解決すればいいという考え方を持つ事ができ、広い視点で解決策を考案出来るようになりました。

参加大学教授コメント:大分大学 経済学部 河野憲嗣教授

学生が生き生きとグループワークに取り組んでいたのが印象的でした。「温泉のない別府」が持続するための取り組み、という奇抜なテーマ設定に戸惑いながらも、大学の枠を超えたつながりの中で活動する楽しさを感じていたように思います。企画運営いただいたメンバーズ社、エンゲージメント・ファースト社をはじめ、別府市や立命館アジア太平洋大学には大変お世話になりました。ありがとうございました。

中山 雄太(未来共創サポーター メンバーズ 北九州拠点)

現在担当している業務がWebサイト運用であり、コーダー職種という立場上、未来を考えアイデアを出し合い共創していくという機会はなかなかないため貴重な体験でした。
実際に具体的な提案資料や動画まで作りこまれていた学生もいらっしゃったり、とても面白いアイデアが多かったです。時間をかけ、自身の住んでいる地域が持続可能であるためにはどうすればいいかを考える機会は少ないと感じており、今回のワークショップは学生さん達にとっても良い体験になったのではないかと思います。
学生やこれから未来のある若者が自分の住んでいる地域の未来を考えることは大切だと感じており、そういった活動を続けて地域活性化の事例として実現していただき、他の地方地域にぜひ伝えて行ってほしいと思います。また、今回は持続可能な地域というテーマでしたがそれを、「これからの日本、そして地球を持続可能にしていく」へと置き換えて考えてみても面白いと思います。

この記事を書いた人

蛭沼 翼

蛭沼 翼

2017年にメンバーズに中途入社。採用担当を経て、現在は研修・育成を担当。地方での勉強会の企画・運営、 産学官連携のイベントや講座などを推進。

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