マーケティング担当者が悩む、自社ならではのサステイナビリティの探し方 ~社会、顧客、企業を繋ぐ未来志向のマーケティング~

「うちの商品/サービスも良いところあるから、今流行りのサステイナビリティ文脈でアピールして!」という無理難題を言われたマーケティング担当者の方はいらっしゃいますか?

ここまで直接的ではなくても、「SDGs」や「エシカル」、「サステイナブル」という社会にとって良いことと自社の商品/サービスを結び付けようという動きは少なくありません。
なぜなら顧客の不満や未充足を解消するだけでは、他社との差別化ができなくなっているからです。

本記事では、具体的な事例を踏まえて、自社の商品/サービスと社会課題、顧客を繋げる手法をご紹介します。

前提となる考え方

自社が提供している商品/サービスを皆さんはどのように社会課題と結びつけていますか?

商品/サービスがどのような社会課題と関連性があるのかという結び付け方は、既存事業の棚卸しをする際には有効かもしれません。例えば、飲料メーカーであれば「水」に関する社会課題などが挙げられます。
しかし、単に商品/サービスと社会課題との結び付きを発信しても、顧客が共感して、購入/利用してくれるわけではありません。このような結びつきでは社会と企業は繋がっていても一番大事な顧客の視点が抜け落ちてしまっているからです。

一方で、商品/サービスそれ自体が顧客のニーズを満たしているという意見もあるかもしれません。これでは企業と顧客は繋がっていても社会課題が抜け落ちてしまっています。

つまり、社会、顧客、企業の3者を繋げた発信をすることが、マーケティング担当者に求められます。

未来志向で社会課題とユーザーのこれからを想像する

現在顧客が向き合っている課題だけでなく、顧客を取り巻く社会の変化や環境の変化をもとに、自社の商品/サービスが読者にとってどのような価値を発揮できると良いのかを考えます。

具体的には、以下の4つのステップで未来志向の発信を考えることができます。
①顧客像を明らかにする
②顧客を取り巻く社会を洞察する
③自社の商品/サービスによって起こしたい顧客の変化を考える
④顧客の変化を起こすものとして既存の商品/サービスを捉えなおし、実際の発信に反映する

サービスのフロー

①顧客像を明らかにする

まず初めに、自社からの発信を受け取る顧客像を明らかにします。この過程は最終的な発信の内容を左右するだけではなく、プロジェクトに参加しているメンバーがどのように顧客を捉えているのかを共有しあい、共通認識を持つことにも繋がります。
つまり、発信の良し悪しを考えるうえでの判断基準を持つことができるのです。

年代や家族構成、居住エリアといった人口統計的属性だけでなく、価値観や嗜好性といった心理学的属性がユーザーへの発信をこれから考えていく上では必要な情報になります。
また、後半のステップ③に進む前に、ユーザーが対象とする商品/サービスに対してどのような考えを持っているか、何を課題と感じているかも整理しておく必要があります。

①顧客像を明らかにする

教育関連サービスを提供する企業の場合、利用ユーザーは子どもかもしれませんが、利用決定者は保護者です。保護者を想定しながら具体的にどのような課題を抱えているのかを考えてみると上図のように教育だけでなく、子どもに見つけてほしい力などが明らかになりました。

②顧客を取り巻く社会を洞察する

次に、今や近い将来どのような社会課題があるのか、
そのような課題に直面したユーザーはどんな不安やもやもやを抱えるのかを洞察します。
今顧客が置かれている状況は、氷山の一角にすぎません。
顧客の環境形成には様々な要因が複合的に絡んでいるはずです。
商品/サービスや自社の業態に捉われずこの氷山の水面下にあるような様々なジャンルで今起きている事象を集め、
それらの事象の関連性から、顧客が今後どのような社会で生きていくのかを想像します。

トレンドについて

実際に今起きている事象を集める際には、既存の商品やサービス、調査結果、ニュースといったものを扱いましょう。収集した事象を視覚的に認識し利用するために、オンラインホワイトボードツールの「miro」やGoogleスライドを使用することをおすすめします。

一見するとまったく繋がりが見えない複数の事象から関連性を見出すことで、例えば「未来では幼少期から個を意識する教育が広まっている」「未来では個人の興味や特性にフィットする教育の選択肢が増える」といった示唆をえることができます。
このプロセスを実施するポイントは、これらの示唆がただの妄想ではなく、実際に今起こっていることを根拠にして現れたという点です。

②顧客を取り巻く社会を洞察する

③自社の商品/サービスが導きたい顧客の変化を考える

ステップ②で明らかになった未来の示唆を踏まえて、顧客の今の姿(As Is)と、どうなっていてほしいのかという導きたい姿(To Be)を考えます。このAs Is と To Beのギャップを埋めることに、自社の商品/サービスの社会的意義があります。

具体例であれば、保護者が抱える不安やもやもやがクリアになった状態を想定できます。
例えば、To Beには「子どもと一緒に変化を楽しめるマインドセットを持つ」や「様々な価値観を参考に子どもの選択を肯定できる」といった状態が考えられるでしょう。

③自社の商品/サービスが導きたい顧客の変化を考える

④顧客の課題を解決するものとして自社の商品/サービスを捉えなおし、実際の発信に反映する

最後に、既存の商品/サービスがAs Is と To Beのギャップを埋める要素を考え、それを実際の発信に活用していきます。

今回の具体例で対象となるものは、塾や講座といった教育サービスだけではありません。メディアでの情報発信、保護者向けの講座、親子教室なども当てはまるかもしれません。
これらの既存商品/サービスは顧客や社会にとってどんな役割を持っているのか
について、①~③を踏まえて整理し、発信の文脈や軸となるメッセージを決めます。

例えば、メディアの購読(サブスクリプション)を通じて「子どもと一緒に変化を楽しめるマインドセット」を培うことができる、といった文脈が検討できます。

④顧客の課題を解決するものとして自社の商品/サービスを捉えなおし、実際の発信に反映する

もちろん、既存の商品/サービスでは満たせないと感じたら、そこにビジネス上の大きなチャンスがあるかもしれません。ビジネスを通じた社会貢献(CSV)として、新規事業や既存事業の見直しを進めるきっかけとし、社内でより検討を重ねる必要があります。

終わりに

今回は具体的な例を紹介しながら、自社の商品/サービスを社会・顧客と未来志向で繋げ直す手法をご紹介しました。
ご紹介した手法は「発信」という1つの側面ですが、株式会社メンバーズでは未来志向で事業戦略や発信の方針を深く考えるサービスを提供しています。

本記事が社会課題解決が強く求められるようになりつつある中で、「まず何をしたら良いのか」と悩まれているみなさんの思考の一助になれば幸いです。

・ご参考:メンバーズの推進するCSV戦略コンサルティング・CSV型プロモーション実行支援
https://www.members.co.jp/services/csv/csv.html

この記事を書いた人

國村 友貴子

國村 友貴子

2020年入社。近いうちに畑を耕すことを夢見ているソーシャルクリエイター。グラフィックレコーディングやワークショップなどさまざまな手法でアイデア実現を導きます。目指す社会の実現に向けて一歩ずつ前進しています。

おすすめ記事

タグ

2020新卒バトンAdobe IllustratorBIツールCCDLab.CSSCSVDockerDXECExcelExcel関数GAGitGoogleAnalyticsGoogleデータポータルKubernetesLT会MAMembersDinerOJTPhotoshopPythonRubySDGsSEOSimilarWebSlackSNSSocial Art JapanプロジェクトSQLUIUXUXライティングUXリサーチVitePressVSCodeWeb3WebディレクションWebディレクターWebマーケティングWeb解析Well-beingWordPressアクセシビリティアナリティクスウェビナーエシカルエシカルファッションエンジニアオウンドメディアオンラインオンラインイベントお悩み相談室キャリアクライアントワークコーディングコミュニケーションコンテンツマーケティングコンペサービスサイト構造サステイナブルスウェーデンスキルアップセミナーソーシャルアーティストソーシャルクリエイターチームビルディングツールデータデータアナリストデータサイエンティストディレクションディレクターデザイナーデザインデンマークトンマナナレッジハックブームの裏側プランニングフレームワークプレゼンプログラミングプログラミング教育ブロックチェーンフロントエンドマーケターマーケティングマシンラーニングマネジメントスキルミーティングメタバースメンタルハックメンバーズメディカルマーケティングカンパニーメンバーズルーツカンパニーユーザーテストライティングラボ活動リサーチリモートワークショップワークスタイル事例仕事術仙台再生可能エネルギー分析効率化勉強会動画北欧医療業界品質管理営業地方金融企業学生向け広告運用提案数学新卒研修新規構築機械学習気候変動海洋プラスチック問題生産性生産性向上産学連携研修社会課題社会課題調査競技プログラミング脱炭素自動化ツール色彩検定製薬業界資格開発環境障がい者雇用