2020.8.25
社会課題をクリエイティブで解決するには?オンライントークセッション開催レポート 第1回「身近な“学校制服”をテーマに、どうしたらクリエイティブで解決できるのか?」
「クライアントにCSV(※)の提案をしたい!」「社会課題をビジネスで解決したい!」しかし「方法が分からない」「どうしたら良いのかイメージがつかない」そんな思いを抱えている方に向けて、「社会課題をクリエイティブで解決するには?」というテーマのオンライントークセッションが7月29日に開催されました。
メンバーズグループ社員限定で行われた当日の様子を、実際に参加した村上がレポートします。
※CSV:Creating Shared Value(共通価値の創造)の略。企業の競争戦略論の世界的第一人者として知られる米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱した概念。CSVとは、「社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を同時に実現させ、社会と企業の両方に価値を生み出す取り組み」を意味します。
トークセッションでは、日本アイ・ビー・エム株式会社 コラボレーション・エナジャイザー 八木橋 昌也さん(以下「パチさん」)と、EF室の我有 才怜さんに登壇いただき、社会解決についてトークセッションをしていただきました。
記念すべき第1回目のトークテーマは「身近な“学校制服”をテーマに、どうしたらクリエイティブで解決できるのか?」このテーマはパチさんが下記ツイートを発信したところ大きな反響があったことから、「多くの人が“制服”に物申したいのでは」という仮説から企画・実施に至りました。
学校の制服が10万円近くとか、もうやめて欲しい。
ユニクロとか、100パターンくらい作って「学校さん、この中から1つ選んで。どれでも1万円です」とかってできないものかな? エンブレムも1000円くらいで売って、自分たちでそれ取り付ければよくね?
引用:八木橋 Pachi 昌也(@dubbedpachi)さんのツイートより
「社会課題解決について思っていること」に関して、〇×のジェスチャーで表現してもらうプチワークから始まった今回のトークセッションは、登壇者のお二人と参加者のみなさんが双方向でコミュニケーションを取りながら、社会課題解決について今自分たちができることは何かを考える時間となりました。
制服により生まれてしまっていると思う社会課題と、それを解決するアイデア
参加者の皆さんには事前課題として、制服により生まれてしまっていると思う社会課題と、それを解決するアイデアを140文字で提出していただきました。
<多く上がった社会課題>
・経済格差が広がってしまうのではないか?
・ジェンダー格差の問題を顕著化させてしまっている要因になっているのではないか?
・個性、多様性を生み出そうとしている学校が制服制度を作ることで、自由な選択を制限してしまっているのではないか?
提出いただいた課題や解決方法について改めて考えていく中で、「制服」というテーマだけでもいろいろな社会問題があり、それを解決するのは簡単なことではないということを参加者全員で実感する機会となりました。
なぜ今回、制服の話をトークテーマとして出したのか?
冒頭で紹介したパチさんのツイートは、新型コロナウィルスの影響で職を失った外国籍の家族が、娘さんの高校の制服代10万円を支払うことができずに入学を諦めかけたというNHKのドキュメンタリー番組を見て、「こんな問題が今後も起こり続けないようにするにはどうしたらいいのか?」と考え、解決案のたたき台として書かれたものだそうです。
そして「制服という1つのイシューを取り上げてみるだけでも、そこには教育における平等の問題、人種差別などから生まれる収入格差の問題などが背景に存在している。視点を変えながら全体を見ようとする訓練も重要だ」とお話しされていました。
社会課題解決には、アテンションとアクションが大事
またパチさんは、社会課題の解決のための重要な考え方として、アテンションとアクションについても語ってくださいました。
事前課題の制服問題を含め、社会課題を現実的に解決していくのは難しく、いきなり訴えても困っている人の助けにはならない。そのため、まずはみんながアテンション(興味関心・注目・関心)を持つような情報発信をすることが大事であり、その問題に対してみんながアクション(行動)しやすい解決策を提示できているかが重要である、とのことでした。
この2つをふまえたインタレスティングなアイデアを出せるかどうか、そして1回の炎上ではなく持続的な問いかけができているかが、社会課題解決するためには重要だ、ともおっしゃっていました。
クリエイティブで社会課題解決するためには?
それでは、いま私たちが実践できる社会課題解決とはなんでしょうか?
メンバーズ社員は、他社の社員よりも社会問題について考える機会は多いようです。それでも、社会課題を解決するために実際に行動すること、そしてそれを続けていくことは難しいことのようです。
社会課題解決を実践に移していくためには、社会課題を解決するための思考力を身につけることが重要とのこと。今の自分にとって重要に思える社会課題を見つけ、さらに自分が実践できる解決策は何かを反復して考えることで、その思考力は徐々に身についていくようです。
1つのアクションで全ての社会課題を解決できることはないので、根気強く社会課題に向き合っていくことが必要であるということも、今回のトークセッションで学ぶことができました。
ネクスト・コラボレーション
CCDLab.では今後も、社会課題に気づき解決するための思考力を養うことを目的とした講座を開催していきます。
また、当講座の内容は、メンバーズのスキルフェローであるNicとRuneが合同で立ち上げたデンマークのデザインファーム「Bespoke」が開発したデザイン思考のメソッド「Futures Design」にも繋がっていきます。
引き続きパチさんとのコラボレーション講座や、Futures Design研修についてもレポートを公開していく予定です。
講師紹介
八木橋 昌也(やぎはし まさや)さん(あだ名:パチさん)
・日本アイ・ビー・エム AI Application事業部所属。コラボレーション・エナジャイザー。
・2017年、日本IBM創立80周年記念プログラム「Wild Duck Campaign - 野鴨社員 総選挙(日本で最もワイルドなIBM社員選出コンテスト)」にて優勝。
・2018年まで社内IT部門にて日本におけるソーシャル・ビジネス/コラボレーション・ツールの展開・推進を担当。
・2019年よりIoTとAIを中心とした先進テクノロジーの社会実装を推進する事業部に異動し、<#混ぜなきゃ危険>をキーワードに人や組織をエナジャイズしている。
我有 才怜(がう さいれい)さん
・2017年メンバーズに新卒入社し、大手金融系クライアントサイトの構築案件で提案や設計、開発ディレクションを担当。
・2018年EFに異動し、ワークショップを実施しながらクライアントとの共創企画の立案、実行支援に従事。
・2019年からはデンマークのBespoke社と未来創造型デザイン思考(Futures Design)を日本で展開。
この記事を書いた人
村上 沙桐
出版社・テレビ局のメディアディレクション・営業を担当を経て、2017年にグループ会社であるマイナースタジオに入社。コンテンツマーケティングなどを担当し、2020年4月よりメンバーズへ転籍。