2021.9.30
誰もが生きがいを持ち働くことができる社会に向けて ~デジタルを活用した障がい者雇用支援の事例~
メンバーズでは、ソーシャルクリエイター(※)による持続可能な社会の実現のため、社員による社会課題に関するインプットとアウトプット活動を行っています。
今回は「障がいのある方々が就職先を選ぶ際の選択肢の少なさ」について、デジタルやクリエイティブの力で解決に向け実践している事例をご紹介します。
※ ソーシャルクリエイター
デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。
「障がい者雇用」の問題
政府が力をいれている「働き方改革」では、”誰も”が生きがいを持って、能力を最大限発揮できる社会を創ることが目指されています。障がい者の雇用・就業の促進という点において、民間企業における障がい者雇用者数は年々上昇しています。一方で、精神・発達障害を持ち、個別性の高い特性を持ちながら就労を希望する方々が働くためには職場定着のため支援や就労環境の整備が必要であり、政府も研究報告書にて課題としてとらえています
課題解決のための事例
今回は、デジタルやクリエイティブの力で障がいを持つ方々の働き方・就労の課題を解決する事例を3つ紹介します。
寝たきりでも働くを実現する分身ロボットカフェ
OriHimeはオリィ研究所が開発した分身ロボット。「分身カフェDAWN version β」では、ALSなどの難病や障害で外出困難な人々がパイロットとしてOriHimeを遠隔操作してスタッフとして働いています。2018年に期間限定での開催後、常設店となるまでに3年の期間、3回のアップデートを経て、常設店として2021年にオープンとなりました。OriHimeというテクノロジーに加えて、プロジェクトがアップデートされていくプロセスも、社会課題解決に向けた事例として学ぶことが多い事例ではないでしょうか。
データサイエンス領域での学習・就業を支援するサービス「Neuro Dive」
「Neuro Dive」先端IT領域を学べる就労移行支援事業所です。利用者はまず、オンライン学習サービスを活用しデータに関するスキル、そして就労支援プログラムでビジネススキルを習得します。その後、インターン・企業実習を行い、就職活動を行うという流れになっています。実際の利用者の声では、発達障害を持つAさんが、合計2回、計5週間の実習によって働くイメージや自信を積み上げることができたと話しています。動画で学ぶというデジタルテクノロジーに加えて、企業の就業支援のノウハウが組み合わさることで課題を解決している事例といえるのではないでしょうか。
自治体と企業による協業で課題解決に向けたプロジェクト
自治体と企業による協業で課題解決に取り組む事例の一つに、鎌倉市とVALT JAPAN株式会社が障害者の仕事と体調管理両立支援システムの実証実験に関する協定の締結があります。
この事例はテクノロジーを活用して、障がい者の日々の仕事と体調管理の両立支援を実現するシステム「NEXT HERO」を鎌倉市にて導入し、働く障害のあるスタッフや雇用側が安心して働く環境をづくりを推進していくというものです。テクノロジーをもつ民間企業と、自治体のコラボレーションの事例が今後も増えていくといいなと思います。
個人でもできること
今回紹介した事例をまとめている時に、障害を持つ方々に向けて特化されているサービスやテクノロジーではありながらも、自分に合った就業や家にいながらも働くことができるというニーズは誰にでもあるものではないかと感じました。また、身近なサービスやテクノロジーを、少し視点を変えて変化させる視点を持つことでより多くの課題を解決できるクリエイターに一歩近づけるのではないかと思いました。まずは、視点を広くもつことから始めたいなと思います。
参考、参照
https://dawn2021.orylab.com/
https://jp.techcrunch.com/2021/08/20/orihime-interview/
https://touch.persol-group.co.jp/20191108_4893/
https://challenge.persol-group.co.jp/datascience/blog/blog_210315.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000013618.html
この記事を書いた人
M
新卒でメンバーズに入社。学生時代は、インドで教育支援をするNPOのスタディツアーに参加したり、若者のリーダーシップをテーマに活動する学生団体の運営などに関わる。また、広島の被爆者と世界の被爆者をつなぐフォーラムや各国の学生が集まり平和について学び・討論するプログラムにも参加してきた。最近はなかなか出来ていないが、実際に足を運んで学ぶことを大切にしています!