2022.11.29
若手向け!デザインディレクションにおいて意識するポイント(後編)
初めに
本編ではディレクター2年目の視点から、デザインディレクションにおいて意識すること、また意識できれば一人前デザインディレクターへの道も夢じゃない!そんなことも共有できればと思います。
この記事は特に、以下のような方にお勧めです。
- どんなデザインにしてほしいのか、どこまで考えれば良いのか分からない
- 自分にはセンスがなく、デザインの知識が全くないからディレクションがうまくできるか不安
- 要望がまとまっても、デザイナーにどのように伝えれば良いのか分からない
- デザイナーはどのような原稿だとうれしいのか分からない
前編では、デザインディレクションの概念やデザイナーとディレクターの役割についてお話ししました。今回はデザインディレクションにおいて要となる指示原稿(指示書)作成とフィードバックに重きを置き、デザイナーとのやりとりの仕方についてお話しできればと思います。
この記事の読了目安時間は8分程です。
ひよっこ視点ではありますが、みなさまのお役にたてば幸いです。
デザインディレクションの基本的な流れ
まずデザインディレクションの基本的な流れを確認しましょう。
ゴール設計→案件共有のための指示原稿(指示書)作成→デザイナー(場合によってはクライアント)とのオリエンテーション→制作依頼→デザイン確認→フィードバック
この中で特に重要なのは、「指示原稿(指示書)作成」と「フィードバック」です。
(フィードバックよりも後に校了と納品がありますが、こちらは一旦割愛し)、この最初と最後の流れがどうにかなっていれば、関係者との認識確認をスムーズに行え、また理想の制作物ができることでしょう!
もちろんオリエンテーションも制作も大事ですが、現場によって仕様や重要性が異なるため、ここでは一般的なデザインディレクションにおいて鍵を握る、この2つに焦点を充ててお話ししたいと思います。
「指示原稿(指示書)作成」について
指示原稿(指示書、以下原稿)とは、ページやバナーなどの制作物を作成するにあたってクライアントの要望をまとめ、こちらの制作指示をテキストはもちろん視覚的にもまとめたものです。これを用いて、デザイナー(コーダー)に制作意図や依頼内容を伝えます。
まず初めに、この原稿作成に当たって大きなポイントを3つお話ししましょう。
①(デザインを作成する際の)デザイナーへのテキスト指示は、相手も理解できるような表現で詳細に
原稿内でデザインのイメージ・希望について付記するときに、曖昧な表現を使っていたり、箇条書きで3行だけの指示になっていたりしませんか?
原稿は自分だけが理解できていても仕方ありません。原稿はプロジェクトの中で、関係者との「共通言語」になるのです。先ほど申し上げたような、曖昧な表現で、指示・情報も最低限な原稿だと、それを見る多くの関係者の中でそれぞれの解釈がうまれ、イメージの共有ができません。
このような事態を回避するためにも、誰にとっても分かりやすい、誠実な原稿を作ることを心がけましょう(これはデザインディレクションに限った話ではありませんが、デザインディレクションを進めていくうえでより留意しなければいけないことだと、私は思います)
そうはいっても、デザインは感覚的な要素が多く中々テキストだけでは伝えづらいということもあると思います。
そんな時に行うことは以下です。
②参考デザインを集めましょう
イメージに近い実際の(既存の)デザインを収集し、フォントや色合いなど要素別でまとめましょう。原稿内では伝えきれない、微妙なニュアンスの説明を補うことができます。
この参考デザインがあることで、大方のイメージを関係者に伝えることができそれぞれの解釈も生まれにくくなります。
また参考デザインの探し方ですが、私はいつもイメージにキーワードをつけて検索にかけたり、あえて他業界のデザインを探したりしています。
正解はありませんので皆さんのやりやすい方法を模索してみてください!
・お勧めのサイト:BANNER LIBRARY
またテキスト指示以外で、実際のデザインの骨組みを図形などで表現するのも重要です。
③要素に意味を持たせ、原稿内で表現しよう
「このテキストを強調したい」「この情報とこの画像に関連性を持たせたい」など、
デザインについてクライアントから上記のような要望を受けたり、自分発信で考えたりすることがあると思います。これらの要望は、見る人に伝えたいデザインの「意味」となります。
これらを明確にしたあとは、まずは関係者に伝わるように原稿内で「意味」を下記のように表現します(挿入する画像は改めて制作)。
具体的には強調したい箇所を大きくしたり、関連性のあるものは近づけて配置したりすると良いでしょう(いわゆるデザインの四大原則ですね)。
原稿作成においては、関係者を混乱させるような解釈を生まないようにすること、次のオリエンテーションや制作にうまくバトンを渡せることを意識してみてください!
「フィードバック」について
次に「フィードバック(以下FB)」における大事なポイントをご紹介します。
ここでは先ほどの「原稿作成」の時に比べて応用的なスキルも入ってくるため、私もちゃんとできているか正直自信がないです。
そのため私たちと同じ新米ディレクターの方は、これから習得できるように一緒に頑張りましょう!
まずデザインの制作が上がってきたら、その成果物について
①3秒で見て、良いか悪いかを判断しましょう
自分の直感を信じてみましょう。デザインを見たときにどういった気持ちになったか、自分の心に耳を傾けるとそこからデザインの良い点・改善点が少しずつ浮かび上がってきます。
それでも自分のセンスが信じられない!という方は、普段から身の回りのあるクリエイティブ(広告や雑誌など)を見て、一つ意見を持ってみる癖をつけると良いかもしれません(そもそも自分なりの意見や感性がないと、デザインに対する提言も解像度の低いものになってしまったり、関係者を不安にさせたり、様々なネガティブリスクにつながる可能性があります。初めは不安かもしれませんが、自分の判断軸を持つことが大事です)!
今では以下のような書籍もありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください♪
・お勧めの書籍:もっとクイズで学ぶデザイン・レイアウトの基本
続いて、自分の直感を整理できたら
②デザイナーさんにデザインの意図を聞いてみましょう
デザイナーさんはその道のプロフェッショナルです。皆さんが①で感じたことのほとんどを意図的に演出し言語化できているためで、彼らの説明・言葉をもとに再度デザインイメージを確認しましょう。そうすることで適切なFBを実施でき、さらにデザインをブラッシュアップさせることも叶います。またクライアントへの説明やデザイン確認も円滑に行うことができます。
もし万が一想定していたデザインと上がってきたもののイメージが異なる場合は
③改善点を要素に切り分けてFBしましょう
「思っていたのと違う」「なんとなく違うのでやり直し」など曖昧な表現でFBを返すことは避けましょう。デザイナー側もこういったFBが帰ってくると、一からデザインを見直すこととなり稼働工数がかかってしまいます。
何か違和感を感じたときは、どこにどんな違和感があるのか、自分の中で整理し次のアクションを示したうえでFBを返すようにしましょう。
上記がまだ難しい…と感じる方は、デザイナーさんに直接相談しましょう!
その他誤字・脱字がないか、コンテンツの抜け漏れがないかなど必要条件のチェックも忘れずに!
最後に
以上が新卒2年目ディレクターの私たちが、デザインディレクションをするうえで感じた・気づいた大切なことと意識すべきことごとです。
まだまだ勉強・経験不足ですべてを説明できているわけではありませんが、これからデザインディレクションに臨む方や、デザインディレクションが不安な方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。
前編・後編と長きにわたりお読みくださりありがとうございました!
この記事を書いた人
西元 華
2021年入社。EMCカンパニー所属。ディレクター。実家のカメと犬がかわいすぎる。