2022.3.18
詳細なユーザー行動分析に役立つGA4の進化
はじめに
アクセス解析のツールとして代表的なGoogleアナリティクス(GA)ですが、2020年10月に第四世代のGA4がリリースされました。
私自身、業務では第三世代のユニバーサルアナリティクスを使用していますが、昨年社内で実施されたGA4勉強会で「今までのGoogleアナリティクスとGA4は全く別物のツールだと思った方がいい」と先輩にアドバイスをいただいたため、GA4について調べてみました。
確かに、GA4とユニバーサルアナリティクスには数多くの違いが存在していましたが、最も強く感じたことは、GA4は「ユーザーひとりひとりの動きを詳細に計測することができるツール」であるということです。
その中でも、毎日ユニバーサルアナリティクスを使って数字を見ている私が「これだけは抑えるべき」と感じた点に注目してお話ししていきます。
目次
アップデートによる二つの変化
ここでは、大きく二つのアップデートをご紹介します。
まず一つ目に、「Webサイトとアプリの統合的な計測ができるようになった」ということです。
GA4以前はアプリの計測はFirebase、Webサイト上の計測はGoogleアナリティクス、と計測ツールが分かれていたのですが、GA4からはアプリとWebサイトを統合して計測することができるようになりました。
二つ目に「ユーザー識別方法の変化」です。
ユニバーサルアナリティクスでは、【1つのcookieに対して1人のユーザー】と認識しユーザーを識別していました。
※cookie:WebサイトからPCやスマートフォンのブラウザに保存される情報(サイトの訪問回数や訪問日時など)のこと
そのため、たとえば1人のユーザーがPCとスマートフォン、二つのデバイスで同じサイトにアクセスした場合、cookieが変わってしまうので二人の異なるユーザーとして別々に計測されてしまいます。
しかし、近年スマートフォンの利用ユーザーや、アプリとWebブラウザを併用するユーザーが増加したことから、GA4では、異なるブラウザにおいても同一のユーザーとして認識できるよう、以下のIDでユーザーを識別できるようになっています。
・Google Signal
Googleアカウントにログインしており、かつ広告最適化を許可しているユーザーに対し、特定のIDが発行される
・デバイスID
ファーストパーティーcookieに保存されているID
・ユーザーID
会員制を持つサイトにおいてログインをしているユーザーを特定するID
(別途、実装が必要となっています)
この変化により、PCとスマートフォンを併用していたとしても、1人のユーザーとして動きを追うことができるので、より正確に、ユーザー単位のデータを得ることができるようになりました。
また、GA4がリリースされた社会的背景として、「cookie含むデータ保護法のアップデートが各国で行われている」という動きもあるかと思います。ヨーロッパでは、2018年5月に GDPR(EU一般データ保護規則)が施行されました。これは、各個人のデータ保護が強化されたもので、cookieも個人情報の対象となりました。
日本ではまだcookieは個人情報として扱われていませんが、2022年4月から施行される改正個人情報保護法によって、cookieの利用に対して厳しく規制されるようになります。
ユニバーサルアナリティクスではcookieを使って計測が行われていましたが、GA4ではcookieに頼らずとも計測ができるツールとなっています。
複数の社会的動きが強まる中で、ユニバーサルアナリティクスの機能ではいくつかの側面において十分に計測することができない、ということでGA4が生まれたんですね。
ユーザーの動きを詳細に追跡することが可能に
続いては、計測方法についてです。
ユニバーサルアナリティクスでは、サイト上でのユーザーの行動は、ヒットという形式でGAに送信されていました。
ヒットにはページビュー、イベントといったいくつかの種類がありました。
しかし、GA4では、ユーザーが閲覧したページではなく行動単位で数値計測がされるよう、ユーザーの行動を示すすべてのデータが「イベント」という形式でGAに送信されるようになりました。ページ閲覧、クリック、Eコマース等の行動がイベントとしてGAに送られています。この変化によって、ページビューという行動以外にも、サイト上でユーザーが行った動きを見ることができるようになりました。URLやページビューという概念がないアプリでも、GA4ではより詳細にユーザーの動きを追うことができるようになっています。
行動(例) |
ユニバーサルアナリティクス |
GA4 |
ページビュー(ページ閲覧) |
ヒットのうち、ページビューとして計測 |
イベントとして計測 |
イベント(クリックなど) |
ヒットのうち、イベントとして計測 |
イベントとして計測 |
Eコマース |
ヒットのうち、Eコマースとして計測 |
イベントとして計測 |
ユニバーサルアナリティクスでは見られなかったイベントをいくつかご紹介します。
【view_search_resurts】:ユーザーがサイト内で検索をしたときに送信されるイベント
【file_download】:ユーザーがドキュメントやテキスト、動画といったファイルに移動するリンクをクリックしたときに送信されるイベント
【user_engagement】:ユーザーがブラウザの画面上にページを表示していた時間(ブラウザタブを複数表示させていた場合、他タブのページではなく該当タブのページが画面上に表示されていた時間)を取得するイベント。
【scroll】:各ページの90%までスクロールしたときに送信されるイベント
【click】:外部リンクがクリックされたときに送信されるイベント
【video_start】: 動画の再生が開始されたとき
【video_progress】: 動画が再生時間の 10%、25%、50%、75% 以降までそれぞれ進んだときに送信されるイベント
【video_complete】:動画が終了したときに送信されるイベント
※動画再生に関するイベントは、JavaScript API サポートが有効になっている埋め込みYouTube動画のみ
ユニバーサルアナリティクスでは、ユーザーがただページを閲覧したということしか把握できませんでしたが、上記のような細かい計測ができるGA4では、ページ内の動画を再生した行動、ファイルをダウンロードした行動、画面上にページを表示させていた時間の長さ、ページをスクロールした行動などを計測することができ、ユーザーのサイト上での動きをより具体的に見ることができるようになっています。
(ユニバーサルアナリティクスでも設定によっては計測可能なイベントもありますが、GA4では主要なイベントは自動で計測されるよう初めから設定されています。)
まとめ
簡単にですが、ユニバーサルアナリティクスを使っている私がGA4について学び感じたことをまとめました。
今はまだユニバーサルアナリティクスを使っている方も多いと思いますが、今後GA4はどんどん主流なツールになっていくかと思います。
またツールを一から学び直すのは少し大変ですが、よりユーザーの動きが見えやすくなったGA4を使うことで見えてくるユーザーの動きは多いかと思います。これからGA4を学ぶ方が、この記事でGA4のイメージを掴んでくださいましたら幸いです。
この記事を書いた人
多勢 まりん(たせ まりん)
メンバーズ データアドベンチャーカンパニー
アナリスト事業部デジタルクリエイター-1G
2020年5月入社。アクセス解析を用いたWebサイト改善に従事。
陳 振(ちん しん)
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
アナリスト事業部デジタルクリエイター-1G
クリエイティブコーチ
2020年2月入社。主にWEBマーケティングコンサル・戦略設計・解析環境構築及びアクセス解析・PDCA&業務改善に従事。
▼データアドベンチャー事例紹介
https://www.dataadventure.co.jp/news/case-2021-04.html